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ヤンキーが好きな音楽、車、ファッション…10年前と今ではこれだけ違う

 ヤンキーの素顔に迫ったシリーズ記事『ヤンキーはどんなクリスマスを過ごす?』『ヤンキーはなぜ40代でも仲間の誕生日を祝うのか?』には、それぞれ大きな反響が寄せられた。これらの中で明らかになったのは、不良の世界でジェネレーションギャップが顕在化しているという実情である。そこで今回は「音楽」「ファッション」など、カルチャー5項目に対して新旧ヤンキーによる徹底討論の模様をお届けする。

取材に応じてくれたヤンキー&元ヤン。写真左から、ヒカル(19)、ユウキ(17)、黒石高大氏、コウジ(21)

 出席者は計5名。黒石高大氏(33歳)と仲間たちだ。黒石氏は横浜の愚連隊総長として名を馳せ、08年から不良系格闘技大会・THE OUTSIDERに参戦。悪羅悪羅系モデルとしても一世を風靡し、現在は子供向け番組『ひみつ×戦士 ファントミラージュ!』に出演するなど俳優として幅広いジャンルで活躍している。  その他のメンバーは黒石氏と同じ年で、かつての不良仲間・オサム(仮名=以下同)。それに対して若い現役世代として、ユウキ(17)、ヒカル(19)、コウジ(21)の3人が参加してくれた。

音楽 ヒップホップ人気は盤石

 ヤンキー御用達のBGMといえば、矢沢永吉、BOØWY、浜崎あゆみなどを連想するかもしれない。だが、おそらくこの感覚はかなり古い。今のリアルなヤンキーは車でどんな曲を流し、カラオケで何を歌うのか? まずはS61年生まれ・悪羅悪羅世代の声に耳を傾けてみよう。 「うちらが10代の頃はヒップホップが一気に世に出てきた時代。キングギドラやラッパ我リヤ……そのあとになると舐達麻やANARCHYが流行りましたね。自分の周りに関していうと、KOHHはそれほど人気でもないかな。でも今でも“不良の音楽=ヒップホップ”という公式は変わらないはずですけどね」(オサム)  ここで「音楽に関しては二極化が進んでいた」と補足するのは黒石氏。 「たしかにヒップホップに流れていった連中も多かったけど、その一方で昔ながらのヤンキー音楽……つまり嶋大輔さんや横浜銀蝿を聴いている層も確実に残っていた。ちょうどあの頃は過渡期だったのかもしれない」(黒石氏)  では、現役世代はどうか? 若手3人によると、やはり不良の間でヒップホップ人気は盤石なのだという。その筆頭がBAD HOPらしい。 「それから不良の音楽というわけじゃないけど、最近は『三線の花』(BEGIN)が好きです。TikTokで流れてきて知ったんですけど、歌詞がすごく胸に沁みるなと思って。あとは『キセキ』(GReeeeN)も歌詞がいいから好き。逆に最新の曲はあまり詳しくないかもしれない。自分は完全に歌詞重視派ですね」(ユウキ)  21歳のコウジも、カラオケでは必ず尾崎豊を熱唱するという。さらに店などで気になる曲がかかると、すぐにShazam(音楽検索アプリ)で調べるとのこと。スマホでなんでも聴ける世代だからこそ、曲が古いか新しいかはさほど気にしない。自然なかたちで過去の名曲を消費していることがよくわかる。

コウジ(21)

漫画 『特攻の拓』を読んでない奴はいない

 悪羅悪羅世代にとって、ヤンキー漫画は最大の娯楽であると同時に不良道を駆け上がるためのバイブルでもあった。『ビー・バップ・ハイスクール』(きうちかずひろ)、『湘南純愛組!』(藤沢とおる)、『クローズ』(高橋ヒロシ)などは仲間内で回し読みしたものだと黒石氏は述懐する。 「中でも圧倒的に人気だったのが『疾風伝説 特攻の拓』(原作:佐木飛朗斗、画:所十三)。“ぶったく”はバイク要素もあるし、ギャグ要素も入っているし、ヤンキー特有の言葉遣いも満載ですからね。読んでいない奴はいないんじゃないかと思う」(黒石氏)  一方、現役世代の若手陣からは凶暴な素顔に似合わぬ意外な作品が挙がった。 「自分は『ベルセルク』(三浦建太郎)をよく読んでいました。話自体は複雑で難しいんだけど、結構エロいシーンが出てくるじゃないですか。中学の頃は、そういうシーンでいちいちドキドキしていましたね」(ユウキ) 「でも、友達との会話で漫画の話題が出ることはほとんどないですよ。まず漫画雑誌なんて買わないし、回し読みもしない。それぞれが携帯で勝手に読んでいる感じ。個人的には『今日から俺は!!』(西森博之)をドラマで知って、携帯で原作も読んでみたらそっちのほうが面白かったですね」(コウジ)
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ヤンキーファッション、世代間の違い
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